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2025年12月3日

【保存版】TVSダイオード最新トレンド&今後の進化を徹底予測

この記事は、電子回路設計者やエンジニア、電気・電子分野の学生、さらにはTVSダイオードの導入を検討している企業担当者の方々に向けて執筆しています。
TVSダイオードの基礎から最新トレンド、選び方や活用事例、今後の進化予測まで、幅広くかつ分かりやすく解説します。
これからTVSダイオードを導入したい方や、最新の技術動向を知りたい方にとって、保存版となる情報を網羅しています。

TVSダイオードとは?仕組みと特徴を徹底解説

TVSダイオード(トランジェント・ボルテージ・サプレッサー)は、電子回路を過渡的な高電圧(サージ)から保護するための半導体デバイスです。
主に静電気放電(ESD)や雷サージ、電源の突入電圧など、瞬間的に発生する高電圧からICや電子部品を守る役割を担っています。
TVSダイオードは、通常時は高インピーダンスで回路に影響を与えませんが、規定電圧を超えると急激に低インピーダンスとなり、過剰な電流をグランドへ逃がすことで回路を保護します。
この特性により、電子機器の信頼性向上や長寿命化に大きく貢献しています。

TVSダイオードの基本構造と動作原理

TVSダイオードは、基本的にPN接合を持つ半導体素子で構成されています。
通常時はほとんど電流を流さず、回路に影響を与えません。
しかし、サージやESDなどの過渡的な高電圧が印加されると、ダイオードがブレークダウン(降伏)し、急激に低インピーダンス状態となります。
これにより、過剰な電流を素早くグランドへバイパスし、後段のICや電子部品を保護します。
この動作は非常に高速で、ナノ秒単位で反応するため、繊細な電子回路でも安心して使用できます。

ツェナーダイオードや一般ダイオードとの違い

TVSダイオードはツェナーダイオードの一種とされることもありますが、用途や特性に明確な違いがあります。
ツェナーダイオードは主に定電圧源や電圧リファレンスとして使われ、連続的な電流を流すことを前提としています。
一方、TVSダイオードは一時的な過電圧(サージ)を吸収するために設計されており、短時間で大電流を処理できる構造です。
また、一般的な整流ダイオードやショットキーバリアダイオードは、主に電流の整流やスイッチング用途であり、サージ保護性能は限定的です。
TVSダイオードは、これらとは異なり、サージ保護に特化したデバイスです。

TVS(サージ抑制)ダイオードの種類と用途

TVSダイオードには、一方向タイプと双方向タイプの2種類があります。
一方向タイプは、主に直流回路や電源ラインの保護に使用され、双方向タイプは交流信号ラインやデータ通信ラインの保護に適しています。
また、パッケージ形状も多様で、リード付き、SMD(表面実装)、チップスケールパッケージ(CSP)など、用途や実装方法に応じて選択可能です。
用途としては、パソコンやスマートフォンなどの電子機器、車載電子機器、産業用制御装置、通信機器、医療機器など、幅広い分野で活用されています。
特に、ESDや雷サージ対策が求められるインターフェース部や電源ラインでの採用が増えています。

TVSダイオードの最新トレンド&技術動向

近年、TVSダイオードは小型化・高性能化が急速に進んでいます。
スマートフォンやウェアラブルデバイスなどの小型電子機器の普及により、より小さなパッケージで高いサージ耐性を持つ製品が求められています。
また、車載や産業用途では高温環境や厳しいノイズ環境に対応した高信頼性品の開発が進んでいます。
さらに、IEC規格やRoHSなどの環境基準への適合も重要なトレンドとなっており、各メーカーはこれらの要件を満たす新製品を続々と投入しています。
今後も、さらなる高性能化と多機能化が期待されています。

小型化・高性能化を実現する最新技術

TVSダイオードの小型化・高性能化を支える技術として、半導体プロセスの微細化や新材料の採用が挙げられます。
特に、チップスケールパッケージ(CSP)や超小型SMDパッケージの開発により、基板上の実装面積を大幅に削減しつつ、高いサージ耐性を実現しています。
また、低容量化技術の進展により、高速信号ラインや高周波回路でも信号品質を損なわずにサージ保護が可能となっています。
これらの技術革新により、IoT機器や5G通信機器など、次世代エレクトロニクス分野でのTVSダイオードの需要がますます高まっています。

車載・産業向けTVSデバイス進化のポイント

車載や産業用途におけるTVSダイオードは、過酷な環境下での信頼性が求められます。
高温・低温、振動、湿度などの厳しい条件下でも安定したサージ保護性能を発揮するため、耐熱性や耐久性の向上が進められています。
また、車載ネットワーク(CAN、LIN、Ethernet)や産業用通信(RS-485、USB、EtherCAT)など、さまざまなインターフェースに最適化された製品が登場しています。
自動運転や電動化の進展により、より高い安全性と信頼性が求められる中、TVSダイオードの役割はますます重要になっています。

IEC規格や環境基準への対応状況

TVSダイオードは、国際的な安全規格や環境基準への適合が不可欠です。
特に、IEC61000-4-2(ESD耐性)やIEC61000-4-5(サージ耐性)などの規格に準拠した製品が多く提供されています。
また、RoHSやREACHなどの環境規制にも対応し、有害物質の使用を抑えたエコフレンドリーな製品開発が進んでいます。
これにより、グローバル市場での採用が容易になり、安心して各種機器に組み込むことができます。
規格適合品を選ぶことで、設計段階から高い信頼性と安全性を確保できます。

TVSダイオードの選び方・使い方ガイド

TVSダイオードを選定・使用する際は、保護対象の回路特性やサージの種類、設置環境などを総合的に考慮する必要があります。
定格電圧やクランプ電圧、最大サージ電流、静電容量、パッケージ形状など、複数のパラメータを比較検討しましょう。
また、回路設計時には配置や向き、パラメトリックチェックも重要です。
適切なTVSダイオードを選ぶことで、電子機器の信頼性と安全性を大きく向上させることができます。

定格(5Vほか)やインピーダンスの選択ポイント

TVSダイオードの選定では、保護したい回路の動作電圧に合わせた定格(スタンドオフ電圧)を選ぶことが基本です。
例えば、5V系回路には5Vまたはそれに近い定格のTVSダイオードを選びます。
また、クランプ電圧や最大サージ電流も重要な指標です。
インピーダンスが低いほどサージ吸収能力が高まりますが、信号品質への影響も考慮する必要があります。
用途や回路特性に応じて、最適なスペックを選択しましょう。

双方向タイプ・各種ラインアップの特徴と選択方法

TVSダイオードには一方向タイプと双方向タイプがあり、用途によって使い分けが必要です。
一方向タイプは直流電源ラインの保護に、双方向タイプは交流信号やバイダイレクション通信ラインの保護に適しています。
また、ラインアップには低容量品や高サージ耐性品、超小型パッケージ品など多彩なバリエーションがあります。
保護対象の回路や実装スペース、必要なサージ耐性に応じて、最適なタイプを選びましょう。

回路設計時の向き・配置・パラメトリックチェック

TVSダイオードを回路に組み込む際は、正しい向きと配置が重要です。
一方向タイプの場合、カソード側を保護対象の電源側に接続します。
双方向タイプは極性を気にせず設置できますが、信号ラインの両端に配置することで効果的な保護が可能です。
また、パラメトリックチェックとして、定格電圧やクランプ電圧、静電容量などが回路要件に合致しているかを必ず確認しましょう。

サージ保護性能を最大化する設計ノウハウ

TVSダイオードのサージ保護性能を最大限に引き出すには、配線のインダクタンスを最小限に抑えることがポイントです。
できるだけ保護対象のICやコネクタの近くに配置し、グランドへの配線を短く太くすることで、サージ電流を効率よくバイパスできます。
また、複数のTVSダイオードを並列配置することで、より高いサージ耐性を実現することも可能です。
設計段階からこれらのノウハウを取り入れることで、電子機器の信頼性を大きく向上させることができます。

TVSダイオードの主要メーカーと製品比較

TVSダイオードは、国内外の多くの半導体メーカーから多彩な製品が提供されています。
各メーカーは独自の技術や品質管理体制を持ち、用途や性能、コストに応じた幅広いラインアップを展開しています。
また、流通チャネルや販売サイトによっても価格や在庫状況、サポート体制が異なるため、用途や調達方針に合わせた選定が重要です。
ここでは、主要メーカーの動向や流通チャネルごとの特徴、海外サイト利用時の注意点について詳しく解説します。

国内外メーカー(ローム・TI・STなど)最新動向

国内メーカーではロームや東芝、村田製作所などが高品質なTVSダイオードを展開しています。
特にロームは超低容量品や車載向け高信頼性品に強みがあります。
海外メーカーではTexas Instruments(TI)、STMicroelectronics(ST)、ON Semiconductorなどがグローバルに幅広い製品を供給しています。
各社とも小型化・高性能化・環境対応を進めており、用途ごとに最適な製品が選べるようになっています。

TVSダイオードの用途・アプリケーション最前線

TVSダイオードは、あらゆる電子機器や産業機器のサージ保護に不可欠な存在です。
パソコンやスマートフォン、家電製品から、車載電子機器、産業用制御装置、通信インフラ、医療機器まで、幅広い分野で活用されています。
特に、ESDや雷サージ対策が求められるインターフェース部や電源ラインでの採用が増加中です。
ここでは、具体的な活用事例や規格別の最適選択について紹介します。

電子機器・回路設計におけるTVS活用事例

パソコンやスマートフォンなどの電子機器では、USBやHDMI、LANなどの外部インターフェース部にTVSダイオードが多用されています。
これにより、ユーザーがケーブルを抜き差しした際の静電気放電(ESD)から内部ICを確実に保護できます。
また、電源ラインや信号ラインにも配置することで、突発的なサージやノイズから回路全体の信頼性を高めています。
近年はIoT機器やウェアラブルデバイスでも、超小型TVSダイオードの採用が進んでいます。

車載・通信・産業用途でのサプレッサ事例集

車載用途では、CANやLIN、車載Ethernetなどの通信ラインや、電源系統の保護にTVSダイオードが不可欠です。
自動運転やEV化の進展により、より高いサージ耐性と信頼性が求められています。
産業用途では、PLCやセンサー、モーター制御回路など、ノイズやサージが多発する環境での保護に活用されています。
通信インフラ分野でも、基地局や光通信機器のESD・雷サージ対策としてTVSダイオードが広く採用されています。

IECクラス・規格別の最適TVS選択

TVSダイオードを選定する際は、IEC61000-4-2(ESD)、IEC61000-4-5(サージ)などの国際規格に準拠した製品を選ぶことが重要です。
規格ごとに求められる耐圧やサージ電流値が異なるため、用途や設置環境に応じて最適なスペックを持つTVSダイオードを選択しましょう。
規格適合品を使用することで、製品全体の信頼性や安全性を高めることができます。

 

★芝山電子がお薦めしたいメーカー SFI Electronics Technology Inc

SFI Electronics Technology 社は過電圧保護部品専門の台湾メーカーです。

革新的な材料技術により、高いα値を持つバリスタ材料を開発。

これにより、強力な過電圧保護性能と低い漏れ電流・高速な応答を両立しました。

また、PTC特性を持つ材料を使用することで、高温環境でも安定した動作と低い漏れ電流を両立しております。製品は高温・高電圧・サージなど過酷な環境下でも安定して機能するよう、複数の信頼性テストをクリア。カーエレクトロニクスや産業制御装置、電子機器などで求められる高性能かつ過酷な環境下にも最適です。

そしてバリスタ、TVS、サプレッサなどの多彩な製品ラインナップを展開し、車載・民生・LED照明・通信分野など業界別の専用ソリューションも提供しています。

 

■SFI ホームページ

https://www.sfi.com.tw/ja

少数のサンプルからご提供可能ですので是非、製品評価の程お願い致します。